訪問看護指示書の記入例と様式の違い~指示書を依頼された医師必見~

    「訪問看護指示書ってどうやけばいい?」「記入例はある?」と、訪問看護指示書の依頼をうけた時に悩む方も多いはず。

    この記事では、訪問看護指示書の記入例、各様式の違いについて紹介します。

    訪問看護指示書の書き方に悩まれている医師は、ぜひ参考にしてください。

    目次

    訪問看護指示書の記入例

    訪問看護指示書の記入例を、指示書の上から順に紹介していきます。

    指示期間

    訪問看護指示期間は、指示書を発行してから6ヶ月が限度です。

    6ヶ月以内であれば、医師の判断によって指示期間を設定してかまいません。

    初めての在宅で療養生活をする、あるいは病状が安定していない利用者さん(クライアント)であれば、今後記載内容が変更となる可能性があります。

    そのため、指示期間を1ヶ月とするケースがあります。

    反対に、病状が安定しているクライアントであれば、最長の6ヶ月としてもよいでしょう。

    なお、指示期間中にクライアントの様態が変化した場合は、訪問看護指示書の再交付が可能です。

    指示期間の開始日は、訪問看護ステーションから指定があった場合は、指定された日を記載します。

    なぜかというと、クライアントの状態によっては急な訪問看護を要するケースがあり、訪問看護指示書の指示開始日以降でないと訪問ができないからです。

    特に指示日の指定がない場合は、訪問看護指示書を記載する日でよいでしょう。

    患者情報

    患者情報には、患者名、生年月日、住所、連絡先を記載します。

    主たる傷病名

    主たる傷病名には、クライアントの疾患を記載します。

    ここで注意したいのが、記載する傷病名によって訪問看護の適用が、介護保険か医療保険か変わる点です。

    例えば、末期の悪性腫瘍がある65歳以上のクライアントの場合、「末期の悪性腫瘍」の記載では医療保険の適用、「悪性腫瘍」だけの記載では介護保険の適用です。

    末期の悪性腫瘍のクライアントの場合、必要な看護が多くなりますので、頻繁に訪問できる医療保険を適用するケースが多くあります。

    基本的に医療保険での訪問看護の利用は、1日1回、週3回までの上限があります。

    しかし、厚生労働大臣が定める疾患(末期の悪性腫瘍がある)に限り1日3回、週4回以上の訪問が可能となりますので、クライアントに十分な看護ができるようになります。

    また、介護保険ですと、月に利用できる単位の上限がありますので、クライアントに十分なケアが行き届きません。

    一般的には、介護認定がおりた65歳以上のクライアントの場合は、介護保険が適応されます。

    しかし、クライアントの状態や適用によっては、医療保険で訪問看護を利用したほうが良いケースがあります。

    訪問看護ステーションが医療保険で介入したい場合、主たる傷病名に関しても指示があるでしょう。

    また、傷病名の記載をどのようにしたらよいのかわからない場合は、訪問看護ステーションに確認すると安心です。

    現在の状況

    現在の状況の項目には、現在のクライアントの状況を記載します。

    投薬中の薬剤の用量・用法に記載しきれない場合は、別紙参照として薬剤情報を添付してもよいです。

    日常生活自立度、要介護認定の状況、褥瘡の深さ、装着・医療機器使用等には当てはまる項目に〇をします。

    留意事項及び指示事項

    留意事項及び指示事項では、訪問看護における留意事項と指示内容を記入します。

    入浴やリハビリテーションの指示がある場合、クライアントの状況によって中止基準を記入してください。

    例を挙げると、収縮期血圧〇〇以上はリハビリテーション中止、脈拍〇回/分以上は入浴中止などがあります。

    リハビリテーションが必要なクライアントの場合、「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が行う訪問看護」の項目では、1日あたりの時間と週何回必要か、内容も記入します。

    訪問看護ステーションからリハビリテーションに関する記載の依頼があった場合は、時間と頻度を確認しましょう。

    介護保険で訪問看護を利用する場合は、ケアプランによってリハビリテーションの時間と頻度が異なります。

    医療保険で訪問看護を利用する場合は、1日1回、週3回までの上限があり、範囲内で看護師とリハビリ職が訪問しますが、クライアントによって訪問頻度はさまざまです。

    また、リハビリテーションで屋外歩行が必要な場合は「屋外歩行訓練可」と記載します。

    この記載がないと、屋外でのリハビリテーションができません。

    その他の項目

    緊急時の連絡先、不在時の対応は、勤務している医療機関のルールにのっとり記載します。

    特記すべき留意事項、他の訪問看護ステーションへの指示、たんの吸引等実施のための訪問介護事業所への指示は、該当する場合は記載してください。

    医療機関・医師名、依頼先

    項目にのっとって、交付年月日、医療機関名、住所、電話、医師名、訪問看護ステーション名を記載します。

    押印のない指示書は無効ですので、忘れず押印しましょう。

    訪問看護指示書の様式の違い

    訪問看護の介入には、一般的に訪問看護指示書が利用されます。

    クライアントの状況によっては、特別訪問看護指示書、在宅患者訪問点滴注射指示書の交付が必要なケースがあります。

    それぞれの様式の違いを紹介します。

    特別訪問看護指示書(特指示)

    特別訪問看護指示書は特指示(とくしじ)ともいわれ、クライアントの急性増悪によって週4回以上の訪問看護が必要な場合に交付します。

    特別訪問看護指示書の指示期間は14日間、月1回まで交付が可能です。

    ただし、気管カニューレを使用している、または真皮までの褥瘡がある状態のクライアントには、月2回の交付が可能です。

    在宅患者訪問点滴注射指示書

    在宅患者訪問点滴注射指示書は、週3回以上の点滴が必要となる場合に、訪問看護ステーションへ交付します。

    在宅患者訪問点滴注射指示書の指示期間は7日間、月に何回でも交付が可能です。

    在宅患者訪問点滴注射指示書は、訪問看護指示書と共に交付が必須です。

    なお、すでに訪問看護指示書を交付しており、指示期間内に在宅患者訪問点滴注射指示書を交付するのであれば、再度訪問看護指示書を交付する必要はありません。

    記入例を参考に適切な様式で作成しましょう

    訪問看護指示書の依頼があったとき、記入に悩むケースがあります。

    この記事で紹介した訪問看護指示書の記入例を参考に、作成していただければ幸いです。

    またクライアントによって介護保険・医療保険、どちらを適用するか異なり、提供する看護によって指示書の様式も変わります。

    記入に悩む場合は、依頼した訪問看護ステーションへ確認しましょう。

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