訪問看護の料金が自費になるのはどんなケース?自費利用の詳細を改めて確認!

    訪問看護は、医師から訪問指示書を発行されたクライアントが、医療保険もしくは介護保険を利用して受けるサービスです。

    病気や障害の有無、また医療デバイスの使用や経管栄養などの利用に関わらず、クライアントの「住み慣れた自宅で自立した生活を送りたい」「家族のいる自宅で最期を迎えたい」という想いを実現させるため、私たちアテンダントは訪問看護を提供しています。

    基本的に訪問看護を利用するクライアントは、医療保険あるいは介護保険を適用することによって、少ない割合の自己負担で訪問看護を利用することが可能になってきますが、場合によっては自費で利用するケースも存在します。

    そこで今回は、訪問看護のアテンダントとして理解しておきたい「訪問看護が自費になるケース」についてご紹介していきます。

    クライアントや家族との会話で必要になることもある知識ですので、よりよい看護サービスを提供するために、今一度理解しておきましょう。

    目次

    訪問看護の利用前提

    訪問看護は、医師からの訪問看護指示書をもとに、自宅で療養生活を送るクライアントのサポートを行います。

    そのため医師からの訪問指示がないクライアントは、基本的にサービスを利用することができません。

    訪問看護に関連する保険制度

    訪問看護を利用するクライアントは、自身が該当する保険制度を活用することによって、少ない自己負担で訪問看護のサービス提供を受けることができます。

    具体的には、65歳以上かつ介護度認定で「要介護」と認められたクライアント(介護保険第1号被保険者)・40歳以上64歳未満かつ厚生労働省の指定する16特定疾病に該当するクライアント(第2号被保険者)は、介護保険制度を利用します。

    その他のクライアントは、医療保険を適用することになります。

    訪問看護を介護保険で利用する場合(介護保険第1号被保険者・第2号被保険者)

    訪問看護を介護保険で利用する場合、クライアント自身の収入にもよりますが、基本的には1割の自己負担でサービスを利用することが可能です。

    また自治体によって認定された要介護度によって、月ごとに介護保険の支給となるサービスの量が細かく定められています。

    介護報酬を計算する際に用いる「単位」を基準に考え、支給限度額の単位数を超えて利用した分に関しては、自費でのサービス利用となります。

    なおこの支給限度額は、訪問看護のサービス利用のみで算出するわけではありません。

    例えばデイサービスや訪問介護を利用しているクライアントの場合は、それらのサービスを利用した単位数も含めて計算することになるので、一概に「訪問看護をこの程度利用すると自費になる」と示すことはできません。

    訪問看護以外の介護保険利用を含めた単位数でケアプランを作成してもらえるようにケアマネージャーに依頼することで、保険適用の範囲内で訪問看護を利用することが可能になります。

    訪問看護を医療保険で利用する場合

    訪問看護の利用に医療保険を適用する場合は、クライアントが該当する医療保険の種類によって自己負担割合が異なります。

    例えば75歳以上の後期高齢者が該当する後期高齢者医療制度の場合は自己負担が1割ですが、令和4年10月1日から75歳以上の方等で一定以上の所得がある方は、医療費の窓口負担割合が2割になります。義務教育就学後〜70歳までのクライアントが健康保険を適用する場合は、月額の3割が自己負担になります。

    また介護保険では交通費の自己負担はありませんでしたが、医療保険で訪問看護を利用する場合は、基本的に交通費が実費精算となります。

    医療保険で利用可能となる訪問看護の量

    医療保険の被保険者が訪問看護のサービスを受ける場合は、通常週3日まで、1回の訪問時間は30分から90分以内と定められています。

    この範囲内であれば全額自費での負担とはならず、それぞれの医療保険に応じて月額の1割〜3割にあたる自己負担での利用となります。

    医療保険の利用制限が外れる条件

    ただし医療保険で訪問看護を利用する場合、週3日まで・1回の訪問時間は30分〜90分以内という利用制限が外れるケースがあります。

    完全な自費による利用ではなく、週4日以上医療保険を利用することのできる条件は、以下の3パターンです。

    • 特別訪問看護指示書が発行された場合
    • 厚生労働省が定める疾病等に該当した場合
    • 膀胱留置カテーテル・在宅酸素療法・人工肛門に代表される医療デバイスを利用している場合
    特別訪問看護指示書とは

    特別訪問看護指示書は、主にクライアントの退院後に発行される、特別な訪問看護指示書です。

    退院の当日から14日間にわたって週4日以上の訪問看護を利用することのできる指示書となっており、改めて自宅で医療機器を使うためのサポートや、慣れない経管栄養の管理補助として利用するクライアントが多いです。

    訪問看護の自費利用

    介護保険の支給上限を超えて訪問看護を利用したい場合、もしくは医療保険の利用制限以上に訪問看護を利用したい場合は、訪問看護を自費利用することになります。

    訪問看護の料金を自費で負担する場合は、提供する訪問看護の内容や訪問の頻度、アテンダントの滞在時間などの制約がありません。

    年齢や疾病などの利用条件もなく、自費利用分は訪問看護指示書がなくとも利用することができます。

    そのためクライアントや家族と訪問看護事業所がやり取りを交わし、双方が納得のいく形での自費利用であれば、制限なくサービスを受けることも可能になってきます。

    訪問看護は料金を自費で払うことも可能。サービスの提供前に確認を

    訪問看護の料金に関係する介護保険と医療保険、そして自費での利用についてご紹介いたしました。

    基本的に訪問看護は、医師から訪問看護指示書の発行を受けたクライアントが保険制度を利用して、少ない自己負担で療養生活のサポートを受けるための制度です。

    しかし近年の核家族化や高齢化といった社会問題、またクライアント自身の「旅立ちは自宅で自分らしく」との想いから、クライアント一人ひとりが訪問看護に求めるサポートは、年々大きくなっているのが現状です。

    保険制度を利用してもサービスの提供が不足している部分に関しては、訪問看護指示書や支給上限・利用制限といった制約を超えて、自費で訪問看護を依頼する方も年々増加しつつあります。

    訪問看護に携わるアテンダントとして訪問看護の料金を自費で依頼されるクライアントの場合は、しっかりとクライアントのニーズを汲み取り、安心できる訪問看護サービスの提供を心がけていきましょう。

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